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「ええ。それにしてもあなたのその力、実に素晴らしいわね」
「素晴らしい……?これの何処が素晴らしいの!?これのせいで……私の家族は……!」
少女は半狂乱になりながら女性の言葉を否定する。
「……まあ、少なくともその力"自体"は悪いものでもないわ」
「………」
少女は女性の言葉に対して何も答えず、ただ女性をじっと見ていた。
「それじゃ、私はこれで失礼させてもらうわ。元々あなた自体には興味なかったし」
「……待って……」
女性が少女の元から離れようとすると、少女は声を震わせながら女性を呼び止める。
「何?」
「あなた……魔法使いなんでしょう?だったら……私を……助けて……」
「……自分の身位自分で守りなさい。でなきゃこの先やってけないわよ?まあ、どうしてもというなら……これを持っていきなさい」
女性はそう言うと、少女に小刀を渡す。それは暗に、自分が手助けするのはここまでだ、後は自分で何とかしろという事であった。
「………」
「……まだ何か言いたげな顔してるけど、私はそこまで優しくないわよ。じゃあ、私は行くわね」
無言で立っている少女を背に、女性は闇に消えるようにその場を立ち去っていった。その後、少女もこのままではいつ隠れているのがばれるかと不安になり、その後を離れた。
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