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「………」
『自分の身位自分で守りなさい』
少女は人気のない路地を歩きながら、小刀を見て女性の言葉を思い返す。
「こんな物で一体どうしろと……まさか追って来る者皆殺せと……?」
(そんな事出来るはずない……私は人を殺した事なんてないし、ましてや刃物を人に向けた事すらない)
少女は小刀を見ながら、女性が自分に何故小刀を渡したのか考える。
(おい、いたぞ!)
(気付かれる前に……こいつを使う!)
パン!
「……かはっ!」
非情にも、少女を見付けた大人達は息を潜め、少女に銃を撃った。その弾は少女の首と胸の間を貫通し、少女は血を吐いてその場に倒れ込む。
「今だ、捕まえろ!」
「………っ!」
少女は何とか気力を振り絞り、時を止める。そして森の中へと入っていき、時を動かした。
「またあの力か!くそ、逃げられた……」
「いや待て……血が残っている。あいつは森の中だ!」
少女に逃げられ地団駄を踏む男に対し、一人が少女の血を見付ける。大人達はその血を頼りに、少女を追いかけた。
「………うっ……」
(もう……動けない……意識が遠退く……)
逃げ続け、森の奥深くまで来ていた少女は力尽き、雪が積もった地面に伏し今にも死に絶えそうな状態になっていた。
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