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出発ノ時
僕は家に帰ると、濡れた髪を拭き、着物を整え、支度をする。
もう、この家には帰って来れない。
夢に見た真っ赤な血の滲んだ家。
夢の中でさえ助ける事が出来なかった家族。
憂はああ言ったけど、僕はまだ間に合う予感がするから。
だから憂…‥
憂の家の扉越しに小さく呟く。
「ごめんね…‥さようなら」
そっと触れた扉から手を離し、まだ夜明け前のこの地を後に歩み出した。
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