泉ノ裏側

1/3
前へ
/16ページ
次へ

泉ノ裏側

僕と愁が小さい頃、二人だけでこっそり村を出た時に迷い込んだこの泉。 愁と二人で遊んでいたら泉の祠の辺りから人が現れた。 僕らはその人と沢山お話しをしたり、色々な事を教えてもらった。 別れ際、その人は僕らの頭を撫でて言ったんだ。 「気をつけて、10年後…君達は大切なモノを失うよ」 僕も愁もよく解らなくて首を傾げた。 僕らはバイバイと手を振り帰ろうとしたが、その人は僕の腕を掴み耳元で囁いた。 「10年後の春にまた…‥」 その時は理解出来なかったけど、今なら解る。 あの人にはこうなる事が解ってたんだ。 僕らが離れ離れになる事を。 あの人なら知っているかもしれない。 この島は、大まかにいうと4つに別れていて、僕らが住んでいるのは 桃の木園 その他に 津雉ヶ丘 狗篭の泉 猴幡山 とある。 桃の木園を中心に後ろには猴幡山で覆われており、左右に津雉ヶ丘と狗篭の泉が広がっている。 僕は今、その狗篭の泉を目の前にあの人に呼び掛けた。 「どうしてこうなる事が解ってたいたの???」 周りの木々がサラサラと揺れる中、僕の声が小さく兒玉するだけで返事は無い。 僕はもう一度聞いてみた。 「僕、鬼ヶ島に行きたいんだ。貴方なら知っているよね!??お願い…‥鬼に見付からずに行く方法教えて」 _
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加