31人が本棚に入れています
本棚に追加
泉ノ裏側
僕と愁が小さい頃、二人だけでこっそり村を出た時に迷い込んだこの泉。
愁と二人で遊んでいたら泉の祠の辺りから人が現れた。
僕らはその人と沢山お話しをしたり、色々な事を教えてもらった。
別れ際、その人は僕らの頭を撫でて言ったんだ。
「気をつけて、10年後…君達は大切なモノを失うよ」
僕も愁もよく解らなくて首を傾げた。
僕らはバイバイと手を振り帰ろうとしたが、その人は僕の腕を掴み耳元で囁いた。
「10年後の春にまた…‥」
その時は理解出来なかったけど、今なら解る。
あの人にはこうなる事が解ってたんだ。
僕らが離れ離れになる事を。
あの人なら知っているかもしれない。
この島は、大まかにいうと4つに別れていて、僕らが住んでいるのは
桃の木園
その他に
津雉ヶ丘
狗篭の泉
猴幡山
とある。
桃の木園を中心に後ろには猴幡山で覆われており、左右に津雉ヶ丘と狗篭の泉が広がっている。
僕は今、その狗篭の泉を目の前にあの人に呼び掛けた。
「どうしてこうなる事が解ってたいたの???」
周りの木々がサラサラと揺れる中、僕の声が小さく兒玉するだけで返事は無い。
僕はもう一度聞いてみた。
「僕、鬼ヶ島に行きたいんだ。貴方なら知っているよね!??お願い…‥鬼に見付からずに行く方法教えて」
_
最初のコメントを投稿しよう!