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高ぶった感情が抑え切れなかった。
言ってしまった後、自分自身が吐いた言葉に後悔した。
言ってはいけない事を僕は言ってしまったから。
頭の中がぐちゃぐちゃになって、どうしたら良いのかさえ解らなくなった。
憂の顔を恐る恐る見ると、悲しそうな苦しげな表情を見せた。
再び沈黙がこの家を包み込んだ。
「…‥だから尚更だ。」
憂が静かに唇を開き沈黙を破る。
「お前の言う通り俺は家族ってモノを知らない。だからお前や皆が俺にとっての家族みたいなモノなんだ。」
「…‥」
「だから俺はお前を行かせたくない。」
憂の真剣な目が僕を捕らえる。
目を反らそうにも反らせず僕は小さく頷いた。
「…‥分かったよ」
僕の答えに満足したのか、憂は頬を緩め柔らかい…‥穏やかな表情を見せた。
「…‥さっきはあんな事言ってごめんなさい…」
「気にするな、それより今日はもう寝ろ。」
「うん」
憂が敷いてくれた布団に入り、眠りについた。
「憂…‥本当にごめん…」
この家から出ていく憂の背中に僕は小さく呟いた。
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