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鬼は舌なめずりをすると、踵を返し家の中を捜し始めた。
部屋に飛び散った血よりも朱い緋色の髪が炎の用にゆらりと揺れる。
その動きが停まった。
「見ぃ~つけた☆」
そう、鬼が捜していたのは先日15歳を迎えた僕の双子の弟。
双子と言っても僕等は似て非なる存在。
押し入れから飛び出した弟は、鬼の足元をかい潜り僕の方に向かって手を延ばし走って来た。
「兄さんっ!!!」
僕はその手を掴もうと必死に腕を延ばす。
が、その手が届く事は無かった。
僕の手よりも速く鬼の手が弟の顔を覆い両腕の自由を奪った。
その後ろの暗闇からスゥーッと鬼の顔が浮かび上がり僕を見下ろす。
「━━━ッやめて!」
脚が震えているのを抑えながらも、声を振り絞り叫んだ。
だが鬼は見下した侭ニヤリと口端をあげると、鋭い牙を剥き弟の首筋に突き立てた。
嫌だっ!!!
お願いっ、やめて!!!
「やめてよーーーっ!!!」
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