31人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋中に響き渡った自分の声に目を覚まし上体を起こす。
先程の悍ましい光景が脳裏に焼き付き、辺りを見渡せばソコら中血だらけに見えた。
僕は両手で顔を覆い目をギュッと閉じたが、やはりソレも無駄だった。
脳裏に焼き付いた光景は瞼を通し映像化され、血の臭いや足を掴まれた感触が今でも感じた。
「嫌な夢っ…‥」
一刻も早くこの部屋から出たくて外に出た。
外にはまだ月が高々と昇っていた。
少しの間は月を眺め風に当たり、少しは落ち着き始めた。
が、僕はまだ家に戻りたく無かったから近くの小川まで歩いた。
僕は河原に着くと水面を覗き込む。
月明かりで自分の顔が写し出された。
「変な顔」
自分のぐしゃぐしゃな顔にぼやき僕は川に頭を突っ込んだ。
━……ザパー~ッ‥
「ー~ッ冷た」
濡れた髪が頬に張り付き、ソコを伝い着物が湿る。
僕はもう一度夜空の月を眺めた。
_
最初のコメントを投稿しよう!