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目を開ける。
常闇の中から暗闇の中へと僕は意識を移動した。
ここが一瞬――どこなのか分からなくなる。
目を開けた先もまた闇の中。僕に光なんて届きはしない。
僕は光を嫌ってここにいるし、光もまた僕が嫌いだろう。
それだけが、僕の中で唯一の確かなこと。
だんだんと冴えわたる瞳が、脳が、ここが現実である事を認識させる。
ベットの柔らかい感触。自分の体にかかる重力は、まるで現実の重さのようだった。
もう、何も見たくない。
そう思い再び目を閉じてみるが――闇は迎えに来てはくれなかった。
「……」
仕方なく、僕は体を起こす。多めに寝てしまったせいか、妙に重い。
若干の頭痛を覚えながら、PCの電源をつける。
機械的な起動音。
ディスプレイの明かりが、僕の部屋を映しだす。
――相変わらずひどい。
人に言わせれば、きっとここは人間の住みかじゃない、と言うとおもう。
ならば、ここに安心を与えられて生きている僕は、既に人間ではないのだろう。
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