第一章『僕たち』

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ディスプレイに目をやる。 PCはもう立ちあがっていたので、ネットへつなぐ。 何か更新されてはいないかと、サイトをめぐり、一通り目を通してから動画サイトへ。 クリックをひとつすると、学園モノのアニメキャラたちが笑顔で踊ったり、歌ったり、仲間とコミュニケーションをとりながら、青春を謳歌していた。 素直に、羨ましかった。 僕は、もうあんな風にはなれない。 「――っ!」 急に吐き気を催したので、急いで動画を止める。 嫌なもの、暗くて不快なモノが頭を駆け巡る。 頭を振って何とか忘れようとするが、まるでこびりついた錆びのように、消えてはくれない。 その感覚が、『さびしい』と感じる心が、僕はまだ人間なんだな――と、思い知らされた。
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