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「そんなの、言葉のあやだ」
僕は自嘲した。
人間に生まれた以上、人間にしかなれない。
人間は人間を超えることはできないし、人間以下にもなれない。
どこまでも果てなく。
僕も、人間なんだ。
――音がした。
外からだろうか――?
その方に目をやると、部屋の入り口だった。
毛布で覆い、大量のガムテープで封鎖されたそこは、何かがぶつかる音を発している。
勢いは、見る見るうちに強まり、毛布越しでも、ものすごい力で何かされていることが分かった。
――――嫌な、予感がする。
僕は、急いで立ち上がる。
が、急に立ったのでふらつき、再びへたり込んでしまった。
「や、やめ――」
僕は、届かないであろう声を、それでも上げずにいられなかったが、遅い。
もはや手遅れだ。
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