第一章『僕たち』

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「そんなの、言葉のあやだ」 僕は自嘲した。 人間に生まれた以上、人間にしかなれない。 人間は人間を超えることはできないし、人間以下にもなれない。 どこまでも果てなく。 僕も、人間なんだ。 ――音がした。 外からだろうか――? その方に目をやると、部屋の入り口だった。 毛布で覆い、大量のガムテープで封鎖されたそこは、何かがぶつかる音を発している。 勢いは、見る見るうちに強まり、毛布越しでも、ものすごい力で何かされていることが分かった。 ――――嫌な、予感がする。 僕は、急いで立ち上がる。 が、急に立ったのでふらつき、再びへたり込んでしまった。 「や、やめ――」 僕は、届かないであろう声を、それでも上げずにいられなかったが、遅い。 もはや手遅れだ。
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