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1週間ほどの泊まり込みのバイトに行ってる最中に、家主が蒸発。
まるでコメディーのようだ。
「はぁ・・・・・・」
とりあえずため息をつき、肩を落としてみる。
が、肩を落としてみたところで現状は何も変わらない。
どんなことが目の前で起きても、すぐに冷静になれるのが俺の特技の1つだった。
正常な人間ならこのような状況に陥ったときは泣き出してもおかしくはないはずだ。
たぶん俺は、一般的な人間から少しずれているんだろう。
普通の人間なら感情を大きく揺さぶられるような出来事も、いつも他人事のように見ることができていた。
いや、実際他人事だったのだ。
あのときも。あのときも。あのときも。
昔から何かあるたびに、
あんなに自分は怒っていたはずなのに、悲しんでいたはずなのに、次の瞬間にはどうでもよくなっているのだ。
その自覚もしっかりあった。
そして今回も・・・・・・。
もうすでにこれからのことなど、本心ではほとんど心配もしていなかった。
自分の身に起こることすらもどうでもいいと感じてしまうのは、悪い癖なのかもしれない。
一応、生命の危機に陥ってる状況なのだが。
荷物は大きい段ボールに詰められ、物置に入っている。
幸い、鍵もまだある。
自分だけで運びだせる量でもないし、荷物を持っていく場所もない。
(どうするか・・・・・・)
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