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それから40分ほどして繁華街に到着した。
時間は午後22時。
まだまだ人通りは多く、特に駅は仕事帰りのサラリーマンがごった返している。
何か漫画のようなトラブルが自分の身に舞い込んできてしまえばいいと、心の底から思ったのは初めてだ。
その思いに惹かれるように、自然と治安が悪そうな場所へと足を向けていた。
なんでもいいから何か起きればいい、と。
ゆっくりと狭い道と交差点が交差する道を進んでいく。
ホスト・キャバクラ・クラブといった店が乱立し、そのたくさんの従業員たちが行き交う中をひたすら歩いていく。
暗く陰鬱でいて、妖艶な雰囲気を放つ極彩色のネオン街。
その中で息を潜めるように、自分の存在をかき消すようにゆっくりと歩く。
そしてふと立ち止まり、周りを見渡した。
(このクソみたいな連中の中に混じれば俺も少しは──)
そんな訳の分からない自問自答が頭によぎった。
その時、どこかで耳障りな男女の声が聞こえた。
どうやら揉めているらしい。
少し進んだところの建物と建物の間の狭い道に、そいつらはいた。
ジーパンとパーカーとゆう質素な服装をし、それにそぐわない濃いアイメイクをしたショートカットの栗色をした髪の女が二人の若い男に絡まれていた。
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