蓮の華‐其の壱‐

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さて、冒頭の女の話に戻ろう。 女はとても美しかった。 ただ美しいだけではなく、どこか愛らしさ、艶やかさを持ち、どんな男も振り返る、どんな女も羨み嫉む、そんな見目をしている。 女は物心つく頃にはそのことに気づいていた。 口八丁手八丁に、人を騙し、物を盗んだ。 どんなお人好しを騙しても、どんな貧しいものから盗んでも気を咎める事はなかったし、むしろ不幸になる人間を嘲笑いさえした。 いつか従民から抜け出し、この腐った町を高見から見下ろしてやろうと心に決めていた。 そして、自分にはそれを成し遂げる才能があると自負していた。
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