星になったあいつより愛を込めて

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「どうだった?」 駅の近くのレストランで、電車の時間を待ちながら、優太郎と誠二はビールを飲んだ。 誠二はニヤニヤ笑っている。 『どうせ婆さんだけだっただろう』と、その顔が告げていた。 「眼の保養になったよ」 「お前そんな趣味あったっけ」 「いや、若い娘がいてね」 「嘘をつけ」 「いや本当だ。若い娘が‥‥って言っても16、17ぐらいの子で、母親と弟と一緒に来てたんだ。きれいな体だった」 「本当かよ」 「嘘をついたって仕方ないだろ。彼女は前から見られたくないってタオルで必死に隠してたけど……うしろを向いたとき……」 「うしろ?」 「少し見えたんだ」 「なにが?」 優太郎は、ビールを一気に飲み干すと、あたらめて“菱形の空間”について語った。 初めは作り話だと思って聞いていた誠二も、途中からはその信憑性に耳をそばだてた。 「へぇ…若い娘が来ることもあるんだなぁ」 「日頃の心掛けのおかげだな」 「馬鹿言え。お前みたいな女たらしが言えた質かよ。…だが、俺も何度か行ったけど、婆さんばっかりだったなぁ」 「あんな角度から、あんなふうに見えるとは知らなかった」 「俺も見たことない」 「ってか、お前はまだ清い体なんだから知ってるはずないだろ」 「それもそうだ」 誠二は愉快と苦笑の入り混じった顔で笑った。 25歳をとうに過ぎた男にとってみれば、“清い体”はさして自慢できる代物ではない。 しかし、優太郎は誠二の苦笑の中に微妙に揺れ動くものを見た。 ─清い体ももうすぐ卒業だな…─ なぜかそう直感した。 確信と言ってもいいほどに……。 その瞬間、昨日紹介されたアイコという名の女が頭に浮かんだ。 ─彼女も細身の体だったが…─ とりとめもなくそう思った。
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