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「! 大丈夫か」
慌てて俺の手からお椀を取り上げ、背中をさする京さん。
もう、普通に笑う事さえ、許されないのだろうか。
「…はい…」
喉に少し違和感はあったが、咳は止まった。
服と布団に、僅かに味噌汁が染み入る。
「今、着替え持ってくるからな」
京さんがぱたぱたと着替えを出してくれる。
布団は、新しいものを出してくれて。
着替えさせてもくれる。
何も出来ないのが、辛い。
京さんにばかり何もかもさせているのが、辛い。
この体が、動きさえすれば。
「…流鬼…どうしたん?」
気が付けば、涙が流れていて、それを京さんがびっくりして拭ってくれていた。
「…すいません…京さん」
「なんで謝るんや?」
「京さんに、ぜんぶ、やってもらって…俺…」
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