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静かな、昼下がり。
何の音も聞こえへん。
僕は流鬼の隣で、流鬼と同じようにベッドに横になっていた。
会話も、ない。
やけど嫌な沈黙ではない。
穏やかで、どこか不気味な、そんな昼下がり。
「…りだったのに」
流鬼が何かを呟いた。
んー?なんていつもの調子で流鬼を見やると、流鬼は真っ直ぐ天井を見つめたまま、
「最期まで笑ってる、つもりだったのに…」
嗚咽の混ざる声で言った。
「流鬼…?」
「怖くないなんて、嘘です。死ぬのは、怖いんです。京さんにもう会えないのは怖いんです」
途中からまるで叫ぶように、流鬼が言う。
「辛くないわけないんです。歩けないのも嫌だし、良く見えないのも嫌なんです。京さんの顔がぼやけるのも嫌なんです」
僕に話しかけてると言うよりは、独り言に近い。
でも確かに、僕に言ってるんやと思う。
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