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「流鬼……」
わかっとうよ。
死ぬのは、怖い。
いなくなるなんて、僕も嫌や。
無理して笑ってた流鬼を見るのも辛かった。
「京さん……手」
手?
聞き返しながら、僕から流鬼の手を握る。
すると、やんわりと握り返してくる。
「京さんの手を…もう強くは握れないけど…、笑っていて下さい。俺が連れて行けるのは、…思い出だけ、ですから」
いつか言った言葉を繰り返しながら、流鬼がこちらを見た。
見たと言っても、多分あまり良く見えていないだろう。
涙目で僕を見てる。
笑っていて、やって。
無茶言うな!って、どついてやろうか。
やけど、あまりに儚げな流鬼に、無理矢理口角を上げた。
物凄く不自然やと思うけど、僕は笑ってるんやで。
「京さんの、えがお…」
流鬼もふにゃりと笑う。
「流鬼、すきやで」
恥ずかしいくらいにぐちゃぐちゃな声で、伝える。
僕の気持ち。
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