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「俺、も……」
流鬼の目が、閉じた。
嬉しそうに、笑ってるみたいに。
「流鬼…?」
握っていたはずの手が、ゆるゆるとほどかれた。
僕がどんなにぎゅっと握っても、握り返されない手。
「流鬼」
寝たんか?
寝たなら、寝息くらいたててや、きしょい。
寝ただけなら、なんでこんな手が冷たいんや。
微かに温いけども、飲み終わったコーヒーカップみたいな温度。
おかしいやん。
今の今まで、僕と喋ってたやんか。
早すぎやで、流鬼。
流鬼。
「流鬼…!!」
僕は流鬼を抱き締めて、あっためる。
一緒に寝た夜の暖かさを忘れない。
こんな冷たさ、僕は知らん。
流鬼は赤ん坊みたいにあっつくて、溶けそうやった。
逝って……しもたん?
流鬼……。
僕を、置いて。
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