21人が本棚に入れています
本棚に追加
暖かな日差しの下、花を抱える無骨な腕。
もうどれだけ長い事、会話しとらんのやろう。
花を、生ける自分に、意外にも慣れてしまった。
流鬼は、この花嫌いやないよな?
花屋で綺麗に咲いてたんやで。
シンプルすぎる墓に、小一時間ほど話しかけていて、人に見られたらきしょいんやろうな、なんて考えられるくらいに、僕にも余裕が出て来た。
だから実際に人に見られても、平気やったんかな。
「京さんじゃないですか」
声をかけてきたのは戒やった。
花束を抱えている所を見ると、戒も流鬼の墓参りだろう。
「戒やん。久しぶりやなぁ」
「はい、葬式以来ですね。毎日綺麗な花が生けてあると思ったら、京さんでしたか」
戒はにこりと微笑み、僕が墓の前を譲ると、同じように花を生けた。
「毎日会いに来ないと、寂しがるんよ」
最初のコメントを投稿しよう!