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いつもと変わらない風景。
それをぼんやりと眺めながら、俺は学校へ向かっていた。
本当に変化の無い世の中だ。はっきり言って退屈する。
本来は常に変化し続けるべきものでさえも、今ではすっかり一定の形を保ち続ける様になってしまった。
「…世は無常、常に変わり続けるって昔の人は言っていたはずなんだがなぁ。」
と、こんな独り言を呟き歩く俺。
名前はライ、高1の16歳だ。
特に大したイベントもない、平凡な学生生活を送っている。
「とは言っても、 俺自身に凄い秘密があったりして、十分イベントになりうる訳だが。」
そう、恐らくこの物語の中核となるであろう秘密を、俺は持っている。
そしてその秘密は、今の世の中をひっくり返すほどのものだ。
「まぁ、現時点に置いて、それは別に明かす必要の無いものだが。」
「ねぇ、さっきから何変な独り言を呟いてるの?」
「何だ、恋(レン)か。」
「何だじゃないよ~。
もう、ライ君ったらさっきから話かけてるのに、全然返事してくれないんだから~。」
「そうか、それは悪かったな。」
俺に突然話しかけてきたこの女は恋。簡単に言えば、ただの同級生だ。
まぁ、難しく言ってもただの同級生だが。
いわゆるヒロインタイプの女で、学校の中での人気はかなりのものだ。
文武両道、気だてもよく、顔は可愛いし、スタイルもよい。欠点を探す方が難しい女だ。
「一応言っておくが、俺は客観的事実を述べただけで、別に好意を抱いているわけではない。」
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