STORY2

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井上舞子は深い森の中にいた。 足を止めることなく歩き回っているが、探している人は見つからない。 何処にいるの? 何をしているの? 小野君 会いたいよ‥ ――ガサッ‥ 突然、目の前の草むらが音をたてた。 ドキリと跳ねた心臓を落ち着かせようと、胸元を手で押さえ、恐る恐る問いかける。 「‥‥だ‥れ?」 少しの間を空け、音の主がゆっくりと姿を現した。 顔も体も泥にまみれた本庄健太だった。 「‥井上さん?良かった、井上さんで」 健太は安堵の息を漏らす。 それと同時に、舞子の緊張もほぐれた。 健太はクラスのお父さん的存在で、何か問題が起こるといつもまとめてくれる。 そんな彼を、舞子もよく頼りにしていた。 ここで健太に会えたことは、舞子にとってとても心強かった。 一緒に小野君を探してくれないか、そうお願いしようとした時、先に健太が口を開いた。 「井上さん。お願いがあるんだ」 「何?」 「死んでよ」
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