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「舞子ちゃん!!」
少し離れた場所から舞子の名前を呼んだのは、小野将人だった。
これは幻?夢?
それとも現実?
「うわぁぁぁぁ!!」
判断をする間もなく、最悪の光景が目の前に広がった。
こんな状況でなかったら、ただ将人が健太に抱きついたとしか思えない。
将人はゆらりと後ろに下がり、健太に刺した包丁を素早く抜いた。
健太は腹部を押さえ、口から血を吐き倒れる。
土の色なのか血の色なのか、赤黒くなった手で地面をかき、顔は見開かれた目の白さだけが目立っていた。
しだいに動かなくなるソレを、将人は冷めた目でただ見下ろしていた。
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