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将人が舞子の名を呼び、駆け寄る。
「だ、大丈夫?良かった、無事で。僕、舞子ちゃ―‥」
そう言いながら差し出してきた将人の手を、舞子は勢いよく叩いた。
「舞子ちゃん‥?」
自分でもよくわからなかった。
ずっと探していた人なのに。
ただ、目の前にいるのが将人ではない気がして仕方がなかった。
「‥そんな顔しないで」
「やめて!」
それはこっちのセリフよ
そんな愛しい顔して
小野君の顔して‥‥
でも、今目の前にいるのは小野君じゃない!!
舞子は混乱していた。
自分でもどうすれば良いのか、何を信じれば良いのか。
耳を押さえ、首を振る。
拒絶することしか出来なかった。
「来ないで!!」
小野君じゃない!
違う!違う違う!!
「舞子ちゃん…。僕、舞子ちゃんをずっと探してたんだ。叫び声が聞こえたから来てみれば、健太が‥」
将人の声は優しかった。
拒んでいるはずなのに、舞子の中に愛しさが溢れる。
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