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浴室を出て部屋に戻れば、ベッドに座り携帯を握りしめるお前がいる。
でも、何か様子が変だ。
携帯を見つめる顔には血の気が無くなり、携帯を握る手は微かに震えていた。
俺が戻った事にも気づかないお前に声を掛けるが、動く事も無い。
「チャミ」
肩に手を置けば、お前の体が一瞬震えた。
「ユチョ…」
俺に気づき向けられるお前の顔には涙を溜める瞳があった。
「何かあったのか」
「ヒロが…」
お前はまた視線を携帯に戻してしまった。
その携帯を覗くと、画面に映し出された文字が見える。
通話中
ヒロ
通話中なのになぜ?
お前の手をゆっくり解き携帯に耳を当てた。
聞こえてきたのは耳を疑うものだった。
ユノとヒロの明らかに情事の声だった。
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