思い出作りは計画的に

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・・・と言いつつも、興味深々で街を探索。 陽良子程の背丈のある大きな黄色の鳥が引く「馬車」ならぬ「鳥車?」が行き交う道路を抜け、中央の広場へやって来た陽良子。 大きな噴水の周りには、家族連れだったり恋人だったり・・・そんな風景を見て、ヨハンの事を思い出してしまったら寂しくなってしまった。 そして、当初の目的を果たす為に、聞き込みしなくちゃ!と意気込む。 噴水の傍に看板を見つけ、「もしや地図!?」と駆け寄ってみるも、何だか不思議な文字の様なものが並ぶだけだった。 ああ・・・全くどうしたもんかなー。 陽良子が腕を組んで考え込んでいると、横に気配を感じた。 「訪れし者に温もりを。旅立ちし者に希望を。ポータルタウン・ゼノンへようこそ!・・・って、そう書いてあるんやで姉ちゃん」 「・・・え?」 「なんや、お姉ちゃん。その腕のは・・・もしやゴールドチケットと違う?」 陽良子よりも背が高い。 リサを同じ位の背丈だろうか。 声を掛けた人物は、白い髪に前髪一束だけが濃い赤毛。 同じく赤い瞳で猫目をまん丸にして驚いている。 ヘソ出しルックのお姉さん?お兄さん?は、紺色の軽いジャケットに、胸元だけオレンジ色の眩しい腹巻の様なもので隠しており、茶色のパンツにサンダルと云う服装だ。 ただ、お姉さんなのかお兄さんなのか、中性的な顔立ちである。 腰に白いバックを下げ、年齢不詳、性別不詳、職業不詳。 訝しげに眺めていたら、「こら失礼」と頭を掻いた。 「うちの名前はジール。そこの白い建物があるやろ?あそこ、バッデレイ商会言うんやけど、あそこのもんなんや。ま、商人なんやけど・・・なんや、さっきからうんうん考え込んどるお姉ちゃんみてな、声かけたんよ。お姉ちゃんはここ、初めてっぽいな。なんや困った事でもあったん?」 関西弁だ!・・・と云うか、そんなに考え込んでたのか・・・。 しかし、神の助け!と言わんばかりに陽良子は縋った。 これも何かの縁ってことで!
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