1955人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
・・・と言いつつも、興味深々で街を探索。
陽良子程の背丈のある大きな黄色の鳥が引く「馬車」ならぬ「鳥車?」が行き交う道路を抜け、中央の広場へやって来た陽良子。
大きな噴水の周りには、家族連れだったり恋人だったり・・・そんな風景を見て、ヨハンの事を思い出してしまったら寂しくなってしまった。
そして、当初の目的を果たす為に、聞き込みしなくちゃ!と意気込む。
噴水の傍に看板を見つけ、「もしや地図!?」と駆け寄ってみるも、何だか不思議な文字の様なものが並ぶだけだった。
ああ・・・全くどうしたもんかなー。
陽良子が腕を組んで考え込んでいると、横に気配を感じた。
「訪れし者に温もりを。旅立ちし者に希望を。ポータルタウン・ゼノンへようこそ!・・・って、そう書いてあるんやで姉ちゃん」
「・・・え?」
「なんや、お姉ちゃん。その腕のは・・・もしやゴールドチケットと違う?」
陽良子よりも背が高い。
リサを同じ位の背丈だろうか。
声を掛けた人物は、白い髪に前髪一束だけが濃い赤毛。
同じく赤い瞳で猫目をまん丸にして驚いている。
ヘソ出しルックのお姉さん?お兄さん?は、紺色の軽いジャケットに、胸元だけオレンジ色の眩しい腹巻の様なもので隠しており、茶色のパンツにサンダルと云う服装だ。
ただ、お姉さんなのかお兄さんなのか、中性的な顔立ちである。
腰に白いバックを下げ、年齢不詳、性別不詳、職業不詳。
訝しげに眺めていたら、「こら失礼」と頭を掻いた。
「うちの名前はジール。そこの白い建物があるやろ?あそこ、バッデレイ商会言うんやけど、あそこのもんなんや。ま、商人なんやけど・・・なんや、さっきからうんうん考え込んどるお姉ちゃんみてな、声かけたんよ。お姉ちゃんはここ、初めてっぽいな。なんや困った事でもあったん?」
関西弁だ!・・・と云うか、そんなに考え込んでたのか・・・。
しかし、神の助け!と言わんばかりに陽良子は縋った。
これも何かの縁ってことで!
最初のコメントを投稿しよう!