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「…で。私を呼んだのは、『私達だけじゃ何だかね』って理由かしら。そりゃあ、私だって忘れられたくないわよ。煩わしい性格なのは分かってるし、だからって直すつもりなんて毛頭無いわ。でも、同情とかで呼ばれたならこの私だって傷付くわよ」
客間のベッドの上で、静かに不貞腐れるのは、陽良子と夏奈子の幼なじみである巴だった。
せっかく揃ったのだから、巴も呼ばないと可哀想だ…と相成ったわけだが、逆に見透かされている。
陽良子、夏奈子、オルカは苦笑して、開け広げたスナック菓子を巴に勧めた。
近々結婚する親友は、アッサリとお菓子に手を伸ばして、悠然と口に放り込む。
取り残されたリサに目をやると、巴は上から目線で訊ねる。
「ちょっと、リサ・ブレイカー。あんた何モジモジしてんのよ。挨拶くらいしなさいよ」
「知ってるんじゃん!」
「オルカ、ツッコミ不要よ。そりゃあ私は知ってるわよ。会った事あるもの」
「そう言えば…巴って社長令嬢だもんね」
夏奈子はチョコレートの箱に手を伸ばし、封を切った。
陽良子が横から中身を奪うので、「めっ!」と制する。
「…私は…リサ・ブレイカー。陽良子と友達になって、こうしてここで雇ってもらってるの」
少し構えた様なリサに、オルカは笑顔で良い放つ。
「巴と同じ匂いがする~!」
「「あぁ…確かに…」」
お菓子を頬張る陽良子と夏奈子の声が重なった。
巴は心外だと言わんばかりに、「私の方が…」と矢継ぎ早に口を出そうとしたが、陽良子がケラケラ笑うので意見を引っ込める。
「でも…やっぱ全然似てない!だって、リサの方がまだ話しが分かるもん」
「…陽良子、それ私に喧嘩売ってるの?」
「巴は宇宙人だからねぇ」
「夏奈子…あんたも喧嘩売ってる?」
「これを選んだ人がいる奇跡…」
「上等よ。三人纏めて掛かって来なさいよ」
と、戦闘体勢に入った4人だったが、間を置くと一斉に笑った。
取り残されたリサだったが、夏奈子がその腕を掴んでニヤリとほくそ笑む。
「じゃあ…リサのあれこれを色々訊くとするか…」
「彼氏は居ますか!?」
「陽良子、その質問の答えはあんたが一番良く知ってるんじゃないの?」
「人にツッコミ入れるなって言ったのに、巴は良いんだ?」
「オルカはもっと分かりなさいよ。私は良いのよ」
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