思い出作りは計画的に

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「あの・・・私は陽良子。陽良子・アルフォーン・マルーグって言います!すっごく困ってて・・・あの、この世界に『水の中でも息が出来るー!』みたいな物ってありませんか?」 「水の中でも息が出来る・・・せやったら、うちの知り合いに腕の良い薬師がいてるんやけど、その人やったらどうにか出来るかもしれへん」 「本当!?」 「エメロード・ベリルっちゅー子や。姉妹で街外れの森に店をかまえとるんや。何ならうちが案内したってもええよ?それに、貴重なゴールドチケットのお客さんやしな」 なんと有難い。 このチケットがあって良かったと、マダムに心の中で感謝する。 と、同時にお腹が細い声で鳴った。 安心したら、お腹が我慢できずに助けを求めている。 ジールは豪快に笑って、「先にご飯、食べよか?」と案内してくれた。 人気のあるオープンカフェがあると言って、二人で向かう。 このジールという商人は、本当に関西人っぽくて、この世界を面白可笑しく説明してくれた。 賑わっているオープンカフェは家庭的で、出てくる料理も豪快だった。 オーブンで焼いた香草焼きのお肉に大満足。 薄く焼いたパンの上に白身魚とハーブ、それからトマトを乗せた物は陽良子のハートをがっちり掴んだ。 パイ生地にフルーツとクリームを挟んだデザートは、別腹に二つも収まってしまうほど美味しかった。 ジールは「よう食うなー!」と驚いてはいたが、終始笑顔を絶やさず、陽良子の食べっぷりに関心。 お腹を満たした所で、早速薬屋さんへ向かう為、ジールが用意してくれた例の「鳥車」が登場。 これが、陽良子の想像を遥かに超えた乗り物だったのである。
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