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陽良子の背丈くらいある大きな黄色の鳥。
尾っぽが無く、二本の足は走る為に特化しており、とても太くて逞しい。
馬と同じように、背には鞍が装備されており、調馬索で運転するらしい。
陽良子が乗るのは、連結されている荷台である。
人力車を想像して頂きたい。
ただし、引っ張るのは鳥。
ジールは軽快に鞍へと腰を下ろした。
準備万端、いざ!
そもそも、この大きい鳥がまだ子供で~とか、まん丸くりくりのお目目が可愛い~とか、そんなお気楽呑気な考えだった陽良子。
笑顔は出発してものの数秒で崩れ去った。
ヨハンに嘗て言った言葉が脳裏を過ぎる。
『ねえ?この黄色いオープンカーって乗らないの?』
「ぎぃやあああああああああああ!」
蘇る、あの悪夢。
運転する本人は至って笑顔。
「なんやヒヨコはん、これはまだ序の口やで!ほな、スピード上げていこか~!!」
おー・・・のぉぉぉ・・・。
黄色の乗り物は・・・駄目だ。
景色はどんどん移り変わっていくものの、陽良子に眺める暇すらなかった。
走馬灯が駆け巡ったので、命の危険を感じずにはいられない。
ちょっと観光気分で☆
等と考えていた自分への、何らかしら罰なのではないかと考えてしまった。
「ひゃほーい!もっと飛ばしまっせー!!」
「・・・・」
言葉にならなかった。
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