思い出作りは計画的に

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★★★★★★★★★所変わって・・・★★★★ 残された人達はどうしているかと云うと・・・。 ヨハンは物凄く混乱していた。 昨日の夕方、妻が「頭痛がする」と云って先に就寝。 薬を飲んだせいか、具合も良くなったのか、ヨハンが様子を診に行った時はすやすやと眠っていた。 そして、ヨハンも寝る準備をし、鼾をかいて眠る妻に眉を寄せつつ就寝。 そして今朝、その妻は何処にもいなかったのである。 だんじり祭Tシャツのまま、忽然と姿を消した妻。 もしや、朝方から海の中へ?と疑っていたが、そうでもない。 海へ行く時は水着着用である。 その水着もないし、だんじり祭Tシャツもない。 靴もある。 しかし、ヨハンは探し回った。 デリブもリサも総動員で、陽良子が行きそうな場所を探したが見つからない。 時間を戻してみると、陽良子は深夜0時を境に消えてしまい、足跡は辿れなかった。 ただ、少し前から気になる「ヨハンとの素敵な思い出が~」と云うやり取りが気になった為、リサとデリブに問い詰めた所、どうしても素敵な思い出が欲しい。ヨハンと海の中を泳ぎたいキャキャウフフ☆と張り切ってきたと。 どう考えても原因が「それ」しかない。 他に見当たらないし、何処へ消えたのかは分からないが、どうも臭い。 そんな訳でヨハンは荒れに荒れた。 デリブやリサに責任を押し付けるのはお門違いと分かっているのに、当たらずにはいられないのだ。 「あなた方、そんな暇があったら準備を早急に進めるとか、やることは沢山あるでしょう?」 「どうして陽良子の事をきちんと管理出来ないのですか?思い出作り?くだらない。」 デリブもリサも何も言わず、ただヨハンのお叱りを黙って聞いていた。 二人には分かっていたし、ヨハンがどれだけ陽良子の心配をしているのか痛い程理解出来る。 陽良子無しでは、からきし駄目人間になる事。 リサは延々続くお説教にポツリと呟いた。 「これと結婚して2年とか・・・ほんと、良く耐えてるものだわ・・・」 と、デリブが返す。 「奥様がいらっしゃらなかったら、旦那様はただの暴君だ・・・」 「陽良子ー・・・あんた何処に行っちゃたのよ~」
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