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「この方は、彼女と同じ鍵を持っていらっしゃるようね。私が陽良子に渡した鍵と少し違うけれど、扉は同じだわ」
さあ、どうする?・・・と言わんばかり微笑む美女に、ヨハンは眉を寄せた。
濱井は涙目である。
「貴方、濱井さんと仰る方でしょう?総裁はお元気?」
「・・・では、貴女様は関係者の方でいらっしゃると?」
「彼には私から話しておくわ。貴方のバカンスを台無しにしてしまったんですもの。貴方の希望が叶うように、私から直接・・・ね。
・・・第二の人生への有意義な取引を・・・
どうかしら?良い条件ではなくて?」
周りには聞こえない、小さな甘い囁き。
濱井は深々と頭を下げ、ヨハンに「これを是非お使い下さい!!」と、目を爛々に輝かせて懇願する。
「ですが・・・」
「お使い下さい!!お役に立てるとあらば、この濱井、バケーションもいりません!!!」
これはバケーションの為の物なのか。
そう思いつつ、ヨハンは受け取ったのだった。
マダムが裏で手引きしているとあらば、陽良子は確実に無事だろう。
しかも、このチケットがバケーションに最適な物だとすれば、あの猫娘は今頃「キャッキャウフフ☆」と楽しんでいるかも知れない。
非常に腹立たしい。
首を洗って待っておれ、陽良子め・・・・!!
「まあ、光枝じゃないの。貴女、大きくなったわね。うぅん、寧ろ大きくなり過ぎたんじゃない?」
でっぷりとした光枝を抱き上げて、マダムはやはり終始笑顔だった。
濱井はと言うと、夢実現の道が開けたのが余程嬉しいらしく、夢見心地で浜辺をスキップしていた。
デリブとリサは、この只ならぬご婦人の為に、お菓子や飲み物等を出してお持て成ししている。
「ねえ、貴方もしかして・・・あのお馬さんの子孫ではないの?昔の彼にそっくりね」
デリブが盆をひっくり返した。
どうやらこのご婦人、あれを知っているらしい。
が、デリブの心臓を抉る発言である。
「・・・あの馬の子孫・・・・」
「塩は・・・傷口に塩は・・・やめてくれ・・・」
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