思い出作りは計画的に

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思い出してフラフラしている陽良子の元へ、誰かがやって来る。 「うーん。今日はどこに行こうかかな~」 軽快な足取りでやって来た少女は、薬屋の方からで、金の二つに束ねた髪が揺れて光る。 それに気付かず、帰りの安全運転を願わずにはいられない陽良子。 ブツブツと独り言。 「こんにちは。お姉さん!!」 「はえっ!?」 素っ頓狂な声を上げて、声の人物に目を向ける。 陽良子より少し、小さいだろうか。 無垢な笑顔で陽良子の反応に小首を傾げていた。 おっと、これはいかんいかん! 「あ、こんにちは!私、エメロードさんと云う人を探しているんだけど・・・」 「え?お姉ちゃんに?」 そう言えば、姉妹でお店をやってるって言ってたっけ? 「ひょっとして、妹さんだったかな?」 少女はにっこりと笑って答える。 「うん。あたし、マリーナ。マリーナ・ベリル。お姉ちゃんの妹だよ」 おふっ!めっちゃかわいー! 「そうなんだー」等と言いつつ、オイラにも妹がいたらなーと、思ってみたり。 こんな可愛い子だといいなー。 しかし、悲しいかな。 先に嫁いだ妹に嫉妬する姉と、ヤンキーな兄しかいない現実。 悲しみを乗り越え、いざ! 「私はヒヨコ。陽良子・アルフォーン・マルーグだよ!よろしくね!」 と、満点笑顔で自己紹介。 「うん!!ヒヨ・・・ヒヨ・・・ うう、ごめんなさい」 「・・・ここでも発音し難いのね。難しい発音っぽいから気にしないでね、マリーナちゃん」 ですよねー・・・。 「ありがとう、ヒヨお姉さん」 と、謙虚である。 かわえーかわえーなー、とニヤニヤ笑ってしまった。 言っておくが、私は変態じゃないぞ! 「そういえば、あたしのお姉ちゃんに用事があるんだよね?それなら、あたしが案内するよー」 満面の笑みは、陽良子のハートにストラーッイク!! めっちゃかわええな、おい!
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