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「マセ餓鬼が、好き勝手な事、ほざきやがって…。」
口では罵っているが、顔が、綻んでいる。
「…速水、何書いてあったかしらないけどさ、言ってる事と、表情が、あってないぞぉ。」
「…煩い!ほっとけ!」
「なぁ、暇なら飲みに行かないか?」
「また、今度な…。」
「ちぇっ!…また、千秋ちゃんか…。」
谷口の言葉に、いつもなら速攻返すのに、ちょっと、間が開いた。
「…いいだろ、誰の迷惑にもなってないんだから。」
「まあな。だけど、気をつけろよ。まだ、外に出してないんだからさ。」
「そういう所に気が回るお前には、感謝するべきだよな…。
仕方ない、明日は、付き合ってやるよ。じゃあな、谷口。」
「おう!」
社を後にした速水は、千秋の所には行かず、車をしばらく走らせて、とあるアクセサリーショップに入って行った。
「…いらっしゃいませ。あっ、速水君。」
「蓮に仕上がったって、連絡もらったから。」
「ちょっと、待ってて下さいね。あなた~!速水君よ~!」
店は、夫婦でやっているらしく、奥の仕事場にいる、主人を呼びたす。
「悪い、待たせたな。」
奥から出て来た男が、この店の主人らしく、歳は速水くらいか…。
「注文の品。これでいいかな、彰?」
手にした小箱を開けて、中を見せる。
「ああ、頼んだ通りだ。流石だな、蓮。」
「気に入って貰えたら、それでいいよ。プレゼントにするんだろ?一葉、ラッピング頼む。」
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