大切な約束は、聖なる夜に…

3/18
前へ
/120ページ
次へ
「マセ餓鬼が、好き勝手な事、ほざきやがって…。」 口では罵っているが、顔が、綻んでいる。 「…速水、何書いてあったかしらないけどさ、言ってる事と、表情が、あってないぞぉ。」 「…煩い!ほっとけ!」 「なぁ、暇なら飲みに行かないか?」 「また、今度な…。」 「ちぇっ!…また、千秋ちゃんか…。」 谷口の言葉に、いつもなら速攻返すのに、ちょっと、間が開いた。 「…いいだろ、誰の迷惑にもなってないんだから。」 「まあな。だけど、気をつけろよ。まだ、外に出してないんだからさ。」 「そういう所に気が回るお前には、感謝するべきだよな…。 仕方ない、明日は、付き合ってやるよ。じゃあな、谷口。」 「おう!」 社を後にした速水は、千秋の所には行かず、車をしばらく走らせて、とあるアクセサリーショップに入って行った。 「…いらっしゃいませ。あっ、速水君。」 「蓮に仕上がったって、連絡もらったから。」 「ちょっと、待ってて下さいね。あなた~!速水君よ~!」 店は、夫婦でやっているらしく、奥の仕事場にいる、主人を呼びたす。 「悪い、待たせたな。」 奥から出て来た男が、この店の主人らしく、歳は速水くらいか…。 「注文の品。これでいいかな、彰?」 手にした小箱を開けて、中を見せる。 「ああ、頼んだ通りだ。流石だな、蓮。」 「気に入って貰えたら、それでいいよ。プレゼントにするんだろ?一葉、ラッピング頼む。」
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1323人が本棚に入れています
本棚に追加