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「君誰?怪しい人?」
「童か?童は巫(なぎ)、羽衣巫(はごろもなぎ)。此方ではナギ=ハゴロモと申す」
「あ、あたしルナ=ウルフォウス」
「ルナか、良い名前じゃのぉ」
「えへへ」
獣人の幼女は初々しそうに照れた。
「ルナ、兎に角近くに村か、町はあるかいのぉ?」
「どうして?」
「童は迷ってしまったのじゃ」
「どうして?」
「童にも解らんのじゃ」
「キオクソーシツなの?」
「難しい言葉をよく知っているの、だが違うのじゃ」
このままでは埒が明かないと判断したナギは、
「兎に角、案内(あない)してもらえんかの、童だけでは心許ないのじゃ」
「襲わない…?」
「襲う理由が何処にあるのじゃ?」
ルナは半信半疑で問うが、ナギは真顔で即答した。
「本当の本当?」
「うむ、本当じゃ」
暫く沈黙が続いた、が信用したのか、巫女服の袖を掴んだ。
「行こ」
「恩に着るのぉ」
2人は、森の出口へと向かった。
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