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これはモテるだろうと相手を頭の先からつま先まで舐め回すようにまじまじと見てしまった。 「役に立って良かったよ。君が鉛筆を折って泣きそうになってたからつい助けてあげたくなっちゃったんだ」 そう言った彼は、まるで雲一つなく晴れた空みたいな笑顔を俺に向けた。 この笑顔を見た時、俺は恋におちたんだと思う。 まだ彼の名前も知らなかったのに。 「あ、僕は光鳴中学の水原 晴弥【みずはら はるや】と言います」 「おっ……俺は、東山中のっ…江月海波【こうづき みなみ】です」 「江月君か。もしお互い合格して、まだ君が僕の事を覚えていてくれたら、その時は友達になろうね」 彼はそう言って爽やかな笑顔を振り撒いて去っていった。 忘れない。 忘れるもんか。 忘れる事なんて出来ない。 ――絶対に。  
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