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「それじゃ、父さんによろしくね」
「きちんとご挨拶するのよ」
なぜか庭の真ん中で両親からの見送りを受ける私
全然遠くに行く気がしないんですが
本当にこれで行けるのか、分かっていてもまだ担がれている様な気がしてならない
「忘れ物はないかい?」
おじいちゃんの言葉に小さな肩掛け鞄を見遣るが、入っているのは父から渡されたいかつい装飾のついたブローチと連絡用の水晶だけ、まあ、ハンカチ、ティッシュくらいは持ちましたが
色々持って行こうと思っていたのに向こうに行けば全てあるからと結局下着すら持たせ貰えなかった
「大丈夫だよー」
「そうかい、何かあったら水晶で連絡しておいですぐにこちらに呼び戻せるからね、その指輪だけはくれぐれも外さない様に」
おじいちゃんは頭に手を置き、私の中指に嵌まったシンプルな指輪を見遣る
「分かってるよ、おじいちゃん」
「じゃあ、楽しんでおいで、つぼみちゃん」
「行ってきまーす」
そうして、私は光に包まれた
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