旅立ち

4/9
前へ
/179ページ
次へ
優しい風が頬を拭い、髪が微かにたなびく 踏み締める足はそこにある柔らかな草の感触を伝えて来る 見渡す限り一面の草原って、…行きなりお家につくんじゃなかったのー! 途方に暮れ立ち尽くしていると、遠くの方から何が凄い勢いで近づいて来る ただならぬ気配に踵を返し逃げようかと思ったが、何か自分の名前を呼んだ気がして思わず耳を澄ます 「ツボミ様ー、どこですかー、ツボミ姫ー」 敬称はこの際置いとくとして、どうやら私を探してくれているらしい   迎えの人かとほっと息をつと大きく手を振ってみる 「おーい、ここでーす」 それに気が付いたのか、次第に黒い影が形になって行く どうやら、馬に乗っているようだ
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加