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「いつっ、すまない、ちょっと調子に乗りました、姫」
ディーンは少し顔しかめ抓られた部分を大袈裟に摩ってみせる
本当は大して痛くないに違いない
「姫はなしでしょ」
腰に強く掴まり直して、尋ねると
「そうでしたね、ツボミ」
声音になんの動揺もなくそうかえしてくる返事に、やっぱりこの人を好きになるのはダメだなと新ためて思い直す
少しくらいのときめきなど、今ならなかった事にできる
そう思いながらも優しく撫でられる髪に神経が集中して行く自分が嫌になる
軽く苛立って景色に目をやれば、辺りは沈み始めた日に照らされて、オレンジ色に染まりつつあった
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