ディーン・ノーティス

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ちょこんと立っている彼女を見たとき、なぜか不思議と好きだと感じた 手を振る彼女を見ると、まるで愛しい人を長らく待たせていたかのような申し訳なさが芽生え、馬を急がせてしまう 返事を噛んだ彼女のくるくると変わる表情に思わず、笑いが口をついたが、それが気にいらなかったのか、頬を膨らましている 我が儘なタイプかと思いきや、直ぐさま迎えのお礼を言っきた事にときめきを感じてしまう 俺はどこの思春期小僧だ、自分の感覚に目眩を感じながらも、冷静を取り繕う 彼女に惚れるのは王の孫とか、年とか、とにかくと色々とまずい なにかの気の迷いだと強く自分に言い聞かせ、彼女を馬に乗せてはみたが 抱える様にして乗せてしまったのが運の付きか、柔らかそうにたなびく髪や不安そうに揺れる長い睫毛、透き通る様な白い頬のすべてが先程の決意を覆せと訴えかけてくる 俺の理性は何処へいった、まだ出会って一時すら立っていない少女になぜこんなにも惹かれるのか そう思いつつも最早抗い難いそれに観念し、彼女との距離を縮める事に思考を切り替える
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