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第二階層は勝ち組になった者達が、天上都市“アルカディア”に行くための前準備等をするための施設が多く存在し、それを保管するための住居も同じように多数存在している。
因みに、和真の家はトロッコ駅のすぐ近く、つまり勝ち組になったばかりの者が住むエリアにある。
そんな事を言っている間に第二階層に到着した和真は、何処にも寄らずに真っ直ぐ家に向かった。
和真「ふぅ、今日も稼いだ稼いだ」
そう言ってポケットから出したお金は、たったの八千円だけだった。
これではその日の食料調達しか出来ない、つまりアルカディアに行くための買い出しに行けないのだ。
だが、当の本人はそれを残念がる事もせず、そのままソファーに腰を下ろした。
和真「……幻想郷、かぁ~…………」
ボソッと呟くと、近くに置いてある写真に目を向け、すぐに視線を天井に戻した。
和真「ヘッ、くだらねぇ……何が楽園だ、そんなものあるわけねぇだろ!!」
実は、和真は以前アルカディアに住んでいたのだが、父親の死後、母親にダウンヒル送りにされ、現在に至るのだが、死んだ父親が生きていた時によく話していたのが、その幻想郷での思い出だったのだ。
子供の時は憧れ、一度行ってみたいと思っていたのだが、時が経つにつれ、何だかバカバカしくなっていき、最終的には父親の話は嘘だと判断する事にしたのだ。
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