第一章 巣立ち

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ここはラグラール王国、首都カトレアの城の中の一室。 ベッドに横たわる青年が目を細め、シャンデリアがある天井をボーっと見つめながら今日、王になる継承式のことを考えていた。 (俺は…本当に王様になりたいのか…俺は…) 頭の中で色々考えているとガチャっと部屋のドアが開き、スーツを着ていて右手のおぼんの上に飲み物を乗っけている、おじいさんが入ってきた。 この服装からして執事であろう。 執事はベッドに横たわっている青年へ静かに歩み寄り、右手のおぼんに乗っけているお茶を近くの机の上に置いた。 そのあと一礼をして 「おはようございます。フェインぼっちゃま。」 青年はフェインと呼ばれた。 髪は黒、瞳も黒く服装も黒い。 そしてそのフェインが口を開く。 「まだ俺は…おぼっちゃま呼ばわりか?」 執事は優しく微笑み 「継承式が終わったら、王様とお呼びしますよ。」 フッっと聞こえるか聞こえない程度で声を発し、執事の方へ向けていた視線が再び天井に戻る。 「今日は一生に一度の舞台です。国民の前に顔を出さなくてはいけませんが…」 最後の方で言葉が詰まる。 「……無理だな。」 フェインはため息をはきながら言った。「『あれ』は、どうしようもありませんな。『上級魔法』を使ってもダメでした。」 執事も肩をおろして弱音をはいた。
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