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上級魔法という言葉を聞いてベッドで横たわっていたフェインが反射的に起き上がる。
そして怒った顔で執事の胸ぐらを掴んだ。
「上級魔法!?城は大丈夫なんだろうな!?」
すごい怒っている。
ここで大丈夫じゃないと言えばすごい怒られるだろう。
怒られるで済めばいいが。
「お城の方は大丈夫です。術者が魔法を放つ一瞬、力を弱めたそうです。」
フェインは城は大丈夫と聞けただけでほっとして、執事を放す。
「……悪かった。」
フェインは頭を下げた。
「いえ。お顔を上げてください。あなたの城の思い入れはこの城に住んでいる誰よりもある。それを忘れていた私の責任です。」
執事も深々と頭を下げた。
「……もういい。一人にしてくれ。」
「かしこまりました。」
そう言って執事は部屋をあとにする。
フェインは机の上に置いてあるお茶を手に取り、少し飲む。
(俺はこの城からもし出れたら冒険者になりたい。って昔から思ってたが…無理なんだ…『あれ』を壊すのは。)
フェインは昨日の夜、読んでいた本を本棚へ取りに行き、椅子に座ってお茶を片手に読み始める。
その本のタイトルは『レオの冒険談』だった。
レオという冒険者が書いた、冒険談。
フェインはその本を読んで世界は広いというのを知った。
モンスターを見てみたい。
海というのも見てみたい。
冒険者のギルドにも行ってみたい。
等々やりたいことはたくさんあった。
なのにもう何も出来ない所まできていた。
今日は継承式。
王様になるしかない。
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