プロローグ

11/13
前へ
/587ページ
次へ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 「判決を言い渡す。被告人は有罪」 そういい渡された被告人は五十嵐だった。 「被告人は自らの友人が目の前で行った姦淫(かんいん)を撮影し、それが多くの人物の手に渡ったことによるわいせつ物頒布罪(はんぷざい)により、16歳まで初等少年院での特修短期処遇(とくしゅうたんきしょぐう)を命ずる。それでは閉廷」 法廷から出た後、女の子は五十嵐に駆け寄った。 「私のせいで……本当にご「謝らないで」 五十嵐は冷たく言い放った。 「あなたが謝って私が無罪になるわけじゃない。私とあなた。加害者と被害者。立場は違えど、この町にもういられないのは一緒でしょ? とっとと、どこにでも行きなさいよ」 それは、女の子が親友だと思っていたときの五十嵐の顔ではなかった。 「私があんな考えを持ってたせいで……ごめん」 そう言って女の子は走り去った。
/587ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加