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奥の部屋から聞こえる嬌声に、オレはため息を零した。
付き合って二ヶ月。
毎日毎日、オレの彼氏様は飽きずにオレ以外を抱くのです。
彼氏様から言われて付き合い始めたんだけど、次の日に彼氏様は女性を抱いた。
うん、最初はやっぱり男は抱けないから女性が良いのかなって思って我慢したんだけど、一ヶ月後にオレと同じ背丈の男を抱いてるのを知った日はショックだった。
オレのこと好きじゃないのかな、と思って聞いたら、普通に好きって返ってきたんだけど……
ちなみに、今日の浮気相手は小柄の可愛らしい男の子だった。
「オレ……魅力がないのかな」
「え、何どったの、奈緒」
「なっちゃんに魅力がないって?」
「誰言った? 締めてくるから」
「え、え?」
まさか独り言を聞かれてるなんて。
彼氏様を慕う彼らはオレに優しくて、こうして彼氏様の浮気中は構ってくれる。
座らせられたソファの上で慌てて弁解する。
「違うよ。あの、ほら……オレ、一応…恋人、なのに…茂さん、キスすらしてくれないから……オレに魅力ないのかな、て」
「「「総長殺す」」」
「え!? 何でそうなったの!?」
3人揃って言う言葉。どうして茂さんを殺すとか、そんな話に!?
「奈緒っ。総長に飽きたらオレと付き合おう!」
「ズリィ、なっちゃんは俺と!」
「お前ら、抜け駆けするなよ」
「あ、ありがとう……でもオレ、茂さんのこと、好きだし……捨てられない限りは、他の人は考えたくないんだ」
「そう言うことだ。失せろ」
「!」
石鹸の良い匂いが急に全身を包まれたかと思えば、茂さんがまだ濡れてる髪をそのままにオレを後ろから抱きしめてた。
うわ……すごい色気。
どうしよう、カッコイイ。
「茂さん」
「奈緒不足」
そう言ってソファを乗り越えて、オレを持ち上げて膝の上に乗せると後ろから抱きしめられた。
浮気をし終わるといつもこの体勢になるんだけど、もうよくわからなくなる。
抱きしめられて嬉しいから、良いかな。
「総長。奈緒が大事なら浮気やめなよー」
「ああ?」
「なっちゃん、傷付いてるよ」
「…………何?」
茂さんは眉を顰めて、オレの顔を覗き込む。
怒らせちゃったのかな?
どうしよう、でも、そんな顔近付けられたら、緊張する……!!
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