飼い主が大好き

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オレは後ろ姿を見付けた瞬間、その背中に飛び付いた。 「けーくん!!!!」 「わ、とと……龍太郎、後ろから抱き着くの禁止、だっていつも言ってるだろ。危ないし」 「だって、けーくんの背中、抱き着きたくなるよ」 「俺の背中にそんな効果はありません。ほら、離れて」 「うー」 けーくんはオレを背中から離すと、体をこっちに向けて頭を撫でてくれた。 オレ、けーくんに頭撫でられるの好きだなぁ。 「うへへ」 「俺に懐き過ぎ」 「だってオレ、けーくん大好きだもん!」 「もんはやめなさい、もんは」 「けーくん大好き!」 「はいはい」 両手を広げて抱き着こうとしたオレを、けーくんは仕方なさそうに笑ってオレの頭を撫で回した。 たまに髪を梳いて貰うとすごい気持ちくて好きー。 「まーた、わんこはご主人様にベタベタしてんのか?」 後ろから背中を強かに叩かれたと思ったら、茶色の髪をかきあげてる友人が。 「あ、ゆーと!」 「柏木。龍太郎のこと、わんこって呼ぶの、やめてくれ」 「だってわんこだろ。三宅見た瞬間に駆け出すとことか、今も撫でられて尻尾振ってるって」 なー、と言って肩に腕を置いてくるゆーとに、とりあえず頷くオレ。 いつもけーくんと仲良いの言うから、多分それだ。 「龍太郎は、幼なじみだから俺に懐いてるだけだ。犬じゃない」 「ふーん。あ、わんこ。今日は俺と放課後遊ぶだろ」 「放課後? そんな約束してた?」 「今してんだよ。暇だよな」 「うん、多分」 確か放課後は何も予定無かったから頷く。 けーくん部活だし、オレ暇だし。 ゆーとはニヤリと笑って、オレと肩を組んでくる。 「じゃ、ご主人様。わんこ借りるなー」 「……龍太郎。俺、今日、部活休みで、家帰ってスフレ焼こうと思ってるんだけど」 「え、スフレ!? けーくん、今日部活休みなの!?」 「そう。だから、龍太郎にお菓子作ってあげようと思ったけど……柏木と遊ぶなら、今度までお預けだからな」 「お預け!?」 そんな! オレ、けーくんの作るお菓子が一番好きなのに! 折角、けーくんが部活休みでオレのためにスフレ…… 食べたい、すごく食べたい。 「……わーんこ。この間言ってた駅前のケーキ、奢ってやるし」 「え、本当!?」 「だから、今日。俺と遊ぶよな?」 「う、……うー」 駅前のケーキ……ゆーと奢ってくれるのそんなないし…… でも、けーくんのスフレ……
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