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はてさて、そんなこんなで、喫茶『ホワイトリバー』へやって来た俺と晴香。
地元の商店街でも一、二位を争う美味を提供する喫茶店として有名である、この店。それが全国区になっていないのが奇跡的だ。
店主の白川さんが、味噌っ歯を覗かせる満面の笑みで俺たちを迎えてくれた。
「元気そうだねぇ、晴香ちゃん!」
「はい!今日は、しょうもないパパと、美味しいご飯を食べに来ました!」
優しさと清潔感に溢れた白川さんの手が、晴香の柔らかい髪を撫でる。俺はそれを努めて明るい表情で見守る。
…しょうもない、は余計じゃないかね?
「晴香ちゃん、シュン君をあまり責めてはいけないよ?」
うむ、流石は白川さん!素晴らしい援護射撃!
「ううん、パパはダメ男です!
『もっとお尻叩かないとダメ!』って、ママから言いつけられてますから」
明るいその言葉が鈍い音を立てて胸に突き刺さる。
…マイ、勘弁してくれ…
そんな少女の言葉を豪快に笑い飛ばし、注文票を取り出した白川さんに、俺は冷やし中華2丁を頼む。
彼はすぐに奥へ引っ込んで、俺はご機嫌な晴香と二人で向き合う。
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