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「それにしても、どうして急に冷やし中華なんだ?」
俺はいつの間にか白川さんが配してくれた氷水を口にしながら、愛しの娘に問い掛ける。
「だって、ママが『冷やし中華が食べたい!』って言ってたけど、わたしは『冷やし中華』って知らないもん…
だから、食べてみてから、わたしがママに作ってあげるの!」
この子は…泣かせるねぃ。
そういえば、晴香が俺達と暮らすようになってから、冷やし中華は一緒に食べた事がない。
俺もマイも仕事ばかりで、親父達に晴香を任せきりだったから、きっと通り一辺倒な食事しかしてなかったのだろう。
ちなみに、親父達は殆ど洋食しか食べない。
「パパのパパとママが作ってくれるご飯はとっても美味しいよ!でも、冷やし中華は無かったの…
パパ、怒ってる?」
晴香は少し瞳を潤ませながらこちらの様子を伺ってくる。きっと、俺が難しい顔をしていたからだろう。
「…そんな訳ないだろう?沢山食べて、その後瑞希さんに作り方教えてもらおう、な?」
自然と零れた微笑みと共に、柔らかい娘の髪を撫でた。気持ち良さそうにする晴香の姿に心の安息を感じる。
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