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「で、何やってんだこんなところで」
神聖教会の一員のコイツが私服で病院の近くにいるってのはどういうことだ。
「つれないな~。君を待ってたんだよ?」
「俺を……?」
「そ。ちなみに私の名前はエーヴェル。よろしくロア君」
「あ、ああ」
目の前のエーヴェルは、ピンク色のパーカーにズボンはショートパンツで、結構目立つ格好をしている。
神聖教会の制服である僧服を着ていないところを見ると、俺を待っていたのは個人的な事での可能性が高い。
「君の事は調べさせてもらったよ。ただの学生だなんて真っ赤な嘘でしょ?」
「な――!? どこまで知ってる……?」
「そんな怖い顔しないしないっ。君の事は教会のデータベースにも"一応"載ってたよ。でも、それはSランクでギルド、レギンレイヴ所属ってことくらい」
「そうか」
エーヴェルの言葉に俺は胸を撫で下ろした。
魔王の事は神聖教会に知られてはいないようだ。
魔王の力がアトに残っている可能性がある今、神聖教会を敵に回すわけにはいかないからな。
「……リオネル枢機卿」
「!?」
「あは、その反応、あの方が言っていた通りだ」
意地悪に笑い、エーヴェルは続ける。
「色々教えてもらったんだ。君の事をね」
「あいつ……っ」
リオネル・コルトー。神聖教会の枢機卿という役職についている、俺の知り合いだ。
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