五章、魔人組織

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懐かしい、あの頃の夢。 長い人生の中で、普通は経験することのない出来事。 母親に売られた。魔王に出会った。そして……――。 「…………俺は」 ゆっくりと目を開ける。 見慣れない白い天井。というか部屋が全体的に清潔感溢れる白なんだが、ここはどこだ? それに、なんだか長い夢を見ていた気がする。 で、俺は何をしていたんだっけ……。 「…………あ!?」 思い出した。俺は外地演習で外地に出て、ラヴィーナが拐われて、ノアに刺されてそれで…… 「てことは、ここは医療施設か……?」 ほのかに薬品の匂いもするし、そうなんだろう。 しかし、誰が俺を……? 「よお、生きてるか?」 部屋の扉が開き、そこから俺のクラスの担任であるマグナス先生が現れた。 寝ている体を起こそうとするが、何故か力が入らない。 ふと自分の体を見てみると、大きい医療用の魔導器具が付けられていた。ノアに刺された腹周辺に。 「そのままでいいぞ。まだ一応治療中だからな」 先生は俺が寝ているベッドの近くにあった椅子に腰かけた。 あのヘビースモーカーのマグナス先生が近くにいるから、滅茶苦茶ヤニ臭い。
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