五章、魔人組織

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「それで、フェミリンスの件だが」 先生は難しい顔をしながら 「現状は待機。拐われた事はとりあえず内密にとの事らしい。それと、学院でのフェミリンスの扱いは休学だ。事情を知らない連中には体調不良のための休学ということにした。もちろん、この事を決めたのは学院長代理なわけだが」 「学院長代理……。ということは、ユリアがですか?」 「ああ。あいつが今学院の権限を握っているからな。まあ、今回の処置に関しては妥当といったところか」 「ですが、ラヴィーナをこのままにというのは……」 「分かっている。だが現状打つ手がないのも事実だ。フェミリンスがどこに連れていかれたか分かればいいんだが、それすらもさっぱりだからな」 先生は申し訳なさそうに言った。 魔人組織コキュートスの拠点とでもいえる場所、そこが分からなければ俺達には打つ手がない。 「とまあ、そういうわけだ。お前さんは治療に専念して、態勢だけは整えておけよ」 そう言うと、先生は立ち上がった。 病室から出ていこうとドアノブに手をかけた瞬間、先生は再びこちらを向いた。 「っと、忘れるところだった。血まみれのお前さんを抱えて砦まで転送して来てくれたセツナには、ちゃんと礼言っとけよ」 最後にそれじゃあなと付け加えて、先生は病室から出ていった。
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