五章、魔人組織

8/61
6375人が本棚に入れています
本棚に追加
/413ページ
リオネルは魔王の事を知っている。アイツ自身は教会の誰にも教えないと言っていたのだが、エーヴェルには教えた。 ……なら、目の前の彼女は信用に足る人物なのか? 分からない。リオネルの野郎、何を考えているんだ。 「安心していいよ。私は別に君の事で今日会いに来たわけじゃないし」 「なら、なんだってんだ?」 神聖教会の人間が俺に会いに来る理由。俺が魔王の力を宿していること以外に何があるのだろうか。 俺はエーヴェルを見ながら次の言葉を待った。 「ラヴィーナ・フェミリンスについて、だよ」 「ラヴィーナの……?」 「そそ。とある拠点を見張らせていた私の部下が、その娘がそこに入って行くのをみかけてね。でもその拠点っていうのが、普通じゃなくってさ」 「まさか……」 「あれ? 心当たりあるのかな?」 不思議そうにエーヴェルが訊いてきた。 心当たりは当然ある。第一、ラヴィーナが捕まったのは魔人組織コキュートス、その長だったのだから、必然的に、そこは奴らの拠点であるという解にたどり着く。
/413ページ

最初のコメントを投稿しよう!