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リオネルは魔王の事を知っている。アイツ自身は教会の誰にも教えないと言っていたのだが、エーヴェルには教えた。
……なら、目の前の彼女は信用に足る人物なのか?
分からない。リオネルの野郎、何を考えているんだ。
「安心していいよ。私は別に君の事で今日会いに来たわけじゃないし」
「なら、なんだってんだ?」
神聖教会の人間が俺に会いに来る理由。俺が魔王の力を宿していること以外に何があるのだろうか。
俺はエーヴェルを見ながら次の言葉を待った。
「ラヴィーナ・フェミリンスについて、だよ」
「ラヴィーナの……?」
「そそ。とある拠点を見張らせていた私の部下が、その娘がそこに入って行くのをみかけてね。でもその拠点っていうのが、普通じゃなくってさ」
「まさか……」
「あれ? 心当たりあるのかな?」
不思議そうにエーヴェルが訊いてきた。
心当たりは当然ある。第一、ラヴィーナが捕まったのは魔人組織コキュートス、その長だったのだから、必然的に、そこは奴らの拠点であるという解にたどり着く。
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